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ウサギの感染症 1 パスツレラ症

  • 2010年01月04日(月)23時30分
  • by 中津動物病院 院長

パスツレラ感染症:
 パスツレラ菌(Pasteurella multocida)の感染で起こるウサギの難病です。感染ウサギのクシャミをかけられて鼻腔内に細菌を吸い込むことで感染が成立します。ウサギはこのパスツレラ菌に抵抗性を示さずに増殖を許してしまいます。鼻腔で増えた細菌によって鼻炎を起こして大量の白血球を含む白い膿の鼻汁を出します。これが最初の症状です。ウサギはしきりにクシャミをし、不快な為に顔を洗う動作を繰り返します。その結果前足の親指付近がこの鼻汁で糊を塗ったように被毛が固まります。増殖した細菌はやがて耳管を通して中耳に移行し、さらに内耳までたどり着くと激しい内耳炎を起こします。内耳の近くにあって体の姿勢を正常に保つ働きがある三半規管に炎症が波及しますと、この反射機能が阻害されて、感染を起こした側に頚を捻転させたままになります。これは斜頚と呼ばれる状態です。ひどい時には上下の方向が判らずに、体を捻転側に曲げすぎて回転して、転げ回ります。また涙管を逆流して眼に到達して結膜炎を引き起こします。また気管から気管支をへて肺胞にたどり着いて気管支肺炎を発症します。血流に侵入したこの細菌は体のあちこちに入り込んで白い膿の塊である膿瘍を形成します。また皮膚の傷からの体内に侵入し血流で全身に広がって膿瘍を形成します。ある種の抗生物質でこの細菌の増殖を抑える事が出来ますが、ウサギでは体内のどこかに残って、飼い主が投与を怠ると必ず再燃して、死に至ります。いったんこの病気と診断されたなら生涯にわたる投薬が必要になります。子ウサギは入手時には白い鼻汁を出していないかを良く確認しましょう。、飼い始めて同じ症状が出たならば早期に、この病気かどうかの診断を受けましょう。
もう一つ注意して欲しい事は、この細菌はネコの口内には4頭中3頭の高い確立で見つかります。ネコはこの細菌に抵抗性が強く、稀にしか発病しません。ですからネコと同居しているウサギは、ネコに体を舐められたり、クシャミをかけられないように、接触には気をつける必要があります。稀に感染ウサギに咬まれる事や濃厚接触でヒトにも感染します。咬傷部位からリンパ管伝いに炎症が広がり、高熱を発します。ウサギからよりもネコからのヒトへの感染が多いと言われています。ヒトとの共通感染症ですから注意が必要です。

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ウサギの感染症 2 トレポネーマ感染症

  • 2010年01月04日(月)23時25分
  • by 中津動物病院 院長

2トレポネーマ感染症
 ウサギの性病で、最初は交尾によって感染が広がります。特に集団で飼っている時には被害は甚大です。原因は螺旋菌でスピロヘータ(Treponema paraluiscuniculi)で、ヒトには感染しませんが、ヒトの梅毒と酷似する細菌で、確定診断はヒトの検査センターでヒトの梅毒と同じ項目の検査をします。集団飼育のウサギの繁殖場では、ウサギはオス1頭に複数のメスが同居するいわゆるハーレムという形態を形成して生活しています。このオスウサギがトレポネーマに感染していますと、この群れ全体に交尾を通じて感染が広がります。感染したメスの外部生殖器は激しい炎症を起こし、やがて表皮が剥がれて潰瘍になり、血液を含んだ漿液が沢山出て被毛にくっつき、治り難い皮膚炎を症状を持続します。
ファイル 161-1.jpg
ウサギは自分の体液が被毛に付着する事を嫌いますので、しきりに口でなめて清潔にしょうとします。これを繰り返していますとやがて口の周辺や眼の周辺に同様の皮膚病が出来て、汚い顔つきになってしまいます。
ファイル 161-2.jpg
たいていの場合飼い主はこの顔の病変に気付いて動物病院を訪れます。しかしこの顔の皮膚病変は二次病変と呼ばれるもので、獣医師は外陰部も同一の病変がある事を確認して臨床診断します。ある種のペニシリンが良く効きます。そして群れ全体を治療する必要があります。オスの症状は包皮や陰茎表面が出血を伴う潰瘍を示します
ファイル 161-3.jpg
ファイル 161-4.jpeg
外陰部付近の潰瘍の原発病巣と顔面の二次病巣の双方を確認して臨床診断する。

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ウサギの感染症 3 腸毒血症

  • 2010年01月04日(月)23時20分
  • by 中津動物病院 院長

感染症3 腸毒血症
 発酵動物であるウサギは自分の体内に保持している細菌、真菌、原虫は非常に沢山の種類があって、それぞれ互いに関連して増殖しています。極度の恐怖、体温の低下、飲水の不足、不適当な抗生物質の投与等で有用な細菌が死滅して、本来ごく少数しか存在しないクロストリジウム属の細菌特にウェルシュ菌(Clostridium perfringens)のみが生き残る場合があります。この細菌は腸管毒素を作り出して、放出し、腸管を痛めます。こうして発生した下痢を腸毒血症といいます。英語のenterotoxemia (エンテロトキセミア)を直訳したものです。小腸では腸粘膜が壊死して剥がれ、ぬるぬるしたゼリー状で血性の下痢が特徴です。クロストリジウム属に有効な抗生物質を投与し、腸粘膜の保護剤を口から飲ませ、皮下か、血管内への輸液療法で治療をします。メトロニダゾールが奏効する症例もあります。体重の少ない子ウサギでは死亡率の高い疾患です。特に生後1ヶ月くらいの幼ウサギを購入した時に、新しい環境に慣れるまでに強い刺激や恐怖を感じますと発症します。ケージに慣れて自分から近寄ってくるまでは、無理にケージから引き出したり、いじくり回したりしないようにしましょう。

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ウサギの感染症 4 エンセファリトゾーン感染症

  • 2010年01月04日(月)23時18分
  • by 中津動物病院 院長

ウサギの脳内に寄生する原虫(Encephalitozoon cuniculi)による前庭疾患で斜頚を特徴とする疾患で、病理学的にはかなり古くから知られています。しかし臨床的に確定診断する事が出来ませんでした。最近は血液検査で抗体価を調べて感染の有無を診断できるようになってきました。中枢性前庭障害と言われる症状で、主なものは斜頚、眼球震盪、回転運動等です。要するに体の位置を検出している中枢がこの寄生原虫で破壊される為に上下の感覚が喪失し、例えば、左が壊れると壊れた方からの信号が中枢に到達しないので、頚を左に下げたままになります。これが斜頚と言われる症状です。
ファイル 164-1.jpeg
比較的軽症の斜頚
信号が皆無の時は体を回転させます。これをローリングといいます。腎臓にも寄生して、尿中に胞子(スポア)を排泄し、これを口から取り込んで感染します。区別する必要のある同じ症状を示す疾患としてはパスツレラ菌が内耳に感染しておきパスツレラ感染症があります。これはレントゲン検査で耳の奥の鼓室胞内に膿が溜まっていないかを検査する事で鑑別できる事があります。治療はパーベンダゾールの最短45日間の連続投与が求められています。また神経症状には、ステロイドの発症初期の集中投与が良い効果を上げる手段として推奨されています。日頃の管理としては、尿の管理を徹底する事です。トイレは常に清潔にして、触った手は良く洗うようにしましょう。

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ウサギの感染症 5 白癬症

  • 2010年01月04日(月)23時16分
  • by 中津動物病院 院長

白癬菌にとって一番の増殖栄養源はイヌの抜け毛で、格好の培養基の働きをしています。多くはイヌの白癬菌が増殖しているイヌの被毛に接触して起こります。手足の先端や顔、耳先等から脱毛が始まり、ふけも多く見られることがあります。ヒトにも感染しますから、変な皮膚病があれば早期に獣医師の診察を受けましょう。診断は今では診察室での即時臨床診断が行えます。これは中津動物病院グループが臨床報告した、ファンギフローラYと蛍光顕微鏡を使って可能となりました。
ファイル 171-1.jpg
無染色標本ではどれが真菌なのか区別がつきません。
ファイル 171-2.jpg
ファンギフローラYを使った染色法で、蛍光を発して光っているのが真菌です。
治療はケトコナゾール、イトラコナゾール等の抗真菌剤の経口投与が有効です。外用薬としては我々中津動物病院グループが臨床効果確認をしたシルピナ(ヨウ化銀製剤)の局所への塗布がが副作用も殆どなくて、良い効果を示します。

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ウサギの感染症 7 疥癬症とツメダニ症

  • 2010年01月04日(月)23時10分
  • by 中津動物病院 院長

ファイル 172-3.jpeg

ウサギの耳孔(外耳道)内に寄生するダニによってひどいカユミを訴えて、しきりに頭を振ったり、後足で耳を掻きます。乾いた耳あかで、耳孔内が塞がってしまう事もあります。接触感染で、親からあるいは同居のウサギからうつります。
診断はフケの底に生活しているダニを顕微鏡検査で検出します。
 ウサギを複数で飼っている場合には全てのウサギに同時にイバメクチンの皮下注射を、7日間隔で3回注射しますと完治します。そのあとも感染ウサギとの接触で簡単に再感染しますから、気をつけましょう。
 この他に体表の激しい痂皮形成を伴う皮膚炎がツメダニの寄生で起こります。疥癬と同じくカユミとフケの多い病気ですが、病変部は体表に限られます。
ファイル 172-1.jpeg
ツメダニ症
ファイル 172-2.jpeg
ツメダニによる痂皮の形成
$FIL3
カユミで肥厚した皮膚
フケの多い部位の被毛の一部を鏡検しますと動くダニや毛に産みつけられた楕円形の卵が見えます。滴下型殺ダニ剤(リボリューション)を左右の肩甲骨に挟まれた部分の皮膚に滴下します。1ヶ月効果を発揮し続けます。タタミや絨緞の中にもいますので、バルサン等で、部屋全体を燻煙消毒すると確実に再感染をふせぐことができるでしょう。

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ウサギの感染症 8 ハエウジ症

  • 2010年01月04日(月)23時08分
  • by 中津動物病院 院長

ウサギのハエウジ症は体下部あるいは後躯が尿等で被毛が汚染され、皮膚に急性湿疹が発生しますと大量の漿液が分泌されて、悪臭を放ちます。
$FILE1
これが夏季ですとハエを呼び寄せて、被毛間に産卵し数日でふ化して本症となります。ウジは皮膚を穿孔して次第に深部に到達し、酸素が必要ですから、小さな皮膚の穴にぎっしり詰まった状態で発見されます。毎年夏に決まって数例の本症の発生を診ています。
原因
1脊椎/脊髄障害による尿の垂れ流し。
2膀胱炎・膀胱腫瘍による尿の垂れ流し。
3床材の交換等の世話が充分でない。
4日頃のウサギの観察が充分でない。
原因の大きな部分は飼い主の管理不足です。腹部の観察や後躯の観察の為に、ウサギの保定で御示ししましたように、膝の上に仰向けに寝かせて、観察できるように日頃から健康管理の為に行って、飼い主もうまくウサギを制御できるし、ウサギもこの姿勢にならしておく事が大切です。動物病院で健康診断を受けるとき、背中を丸くする等の保定のコツがありますので獣医師から安全な保定について指導を受けると良いでしょう。

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ウサギの感染症 9 肺炎

  • 2010年01月04日(月)23時05分
  • by 中津動物病院 院長

ウサギの胸郭の容積を、同じ位の体長と体重のネコと比較しますと、ネコでは体長のおよそ1/3が胸郭であるのに対して、ウサギでは1/4に過ぎません。こうした解剖学的特徴がウサギの呼吸器にありますから、いったん肺炎等で呼吸が充分に出来ない時は容易に激しい酸素不足の症状を示します。
$FILE1
ネコの胸郭です。
$FILE2
上記のネコと同体格のウサギです。

呼吸困難の症状
 1通常は横隔膜を使う複式で浅い呼吸を回数多く(100回以上)していますが、呼吸困難では吸気に時間がかかって、呼吸回数は極端に減少します。1分間に20回くらいまで低下します。
2また肋間筋も使って胸式で呼吸しますので、吸気時に肋間が広がります。
3咳はウサギでは滅多に観察されません。
4唇や鼻の毛の薄い部分では皮膚が見えて、チアノーゼと言われる紫色に変わります。それは激しい酸素不足の症状です。
5また吸気時には下顎を引いて、口を開けて少しでも換気量を増やそうと喘いだ呼吸様式になります。

 肺炎の発生原因としては、被毛がぬれたまま冷気に曝されるとか、多くはパスツレラ菌の肺感染です。稀には乳腺癌等の悪性腫瘍の肺転移です。ウサギは弱みを見せませんから、上記の様な症状を見つけたならば出来るだけ早く獣医師の診察を受けて下さい。タオルでウサギを包んだり、抱きしめて運ぶ事は自由な呼吸を妨げますから、手提げのケージに収容して運んで下さい。こうすればウサギは呼吸が一番楽な姿勢が取れます。
      

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ウサギの感染症 10 脚瘤症

  • 2010年01月04日(月)22時59分
  • by 中津動物病院 院長

ウサギの足裏は全面被毛に覆われています。
ファイル 165-1.jpg
ウサギは常に後脚で体を支えて生活している動物です。そのため常に脚裏は圧迫を受けていると言えます。この体の構造が脚瘤症発生素因としてどの個体にもあります。そして、ざらざらした凹凸の多い不適当な床面と体重の増加(過肥)さらに床面が尿や糞でぬれた不潔な状態が持続しますと被毛の撥水性が失われて尿が皮膚面に到達し、湿疹になります。そして毛が抜け落ちて、皮膚は赤く炎症を起こしてきます。さらに原因が持続すると皮膚が剥がれ、下の腱が見えてきます。激しい痛みをとも舞います。また炎症で膿が作られ、膿がさらに周辺組織を融解して炎症が深部と波及してゆきます。さらに時間が経過します骨膜炎、骨髄炎と悪化が進みます。
ファイル 165-2.jpg
ウサギは皮膚炎の段階から痛みを感じて前足に体重をかけて、少しでも痛みを和らげようとします。前足は本来は余り持続して体重をかけていませんので、簡単に後脚と同じ症状を呈します。
ファイル 165-3.jpg
脚瘤症は足底皮膚炎あるいは足皮膚炎とも呼称されます
家庭で出来る対策としては、乾き易い平滑な床材に替えます。例えばプラスチック製の台所用のまな板がよいでしょう。複数用意して、尿や糞が付いたら、直ちに交換して、常に乾燥した床面にしておきましょう。
発泡スチロールは当たりが柔らかく非常に良い材質ですが、ウサギによって齧って、粉々にするかもしれません。こうした個体には使わない方が良いでしょう。
また、過肥にならないようにしましょう。それには牧草(チモシーあるいはアルファルファ)を多く与え、バナナ、イモ類等のでんぷん質は極力減らした食餌内容を続けて下さい。過肥であれば、獣医師の指導を求めて、その指示の元で減量に努める事です。アメリカでは重症例ではその疼痛と治癒不可能の為に、動物福祉の観点から安楽死も考慮されている疾患の一つです。
しかし、我々中津動物グループでは画期的な治療法を発見しました。

浅香山動物病院の磯部看護士による画期的アイデア
安楽死も考慮される様な深刻な重度の脚瘤症で入院治療中のウサギのケージにある日うっかりとミルク缶をおいたまま、その場をしばらく離れていたところ、このウサギは、この缶にお腹を乗せて、後脚の足裏を浮かせている光景を目撃しました。磯部看護士はこの状況を見逃しませんでした。直ちに獣医師に報告し、今度は故意にケージ内にミルク缶を安定した台に設置して置いておきました。このウサギは多くの時間をこの缶の上にお腹を乗せて、足裏を自分で浮かせていました。こうする事で痛みから開放される事が学習されたのです。このウサギは難治と言われた重度の脚瘤症から完治しました。今では,診察台の上で、ティッシュペーパーの箱に腹部を乗せてしばらく置いておきます。これを何回か繰り返して練習します。
ファイル 165-4.jpg
ファイル 165-5.jpg
そして、ベニア板に四角い角材をネジ留めした安定した台をケージ内に設置し、時々ウサギを乗せてやると、やがてウサギは自分から乗り始め、足裏への負重を避けて、痛みから開放され気持ち良さそうに乗っています。磯部看護士のアイデアは画期的で今では治癒可能な疾患の一つになりました。こうして台に乗る事を練習したウサギはそのまま日課的に乗る事を好む個体と、横臥姿勢になって足裏を投げ出して、痛みから開放される姿勢をとる事を好む個体がいます。

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子ウサギの鼓腸症1

  • 2010年01月03日(日)16時19分
  • by 中津動物病院 院長

本文は当院HPの先頭画面、分類一覧のウサギの項目から、子ウサギの鼓腸症の報告を参照して下さい。
ファイル 187-1.jpg
ファイル 187-2.jpg
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ファイル 187-5.jpg

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