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ウサギ:食欲不振

  • 2009年12月29日(火)09時42分
  • by 中津動物病院 院長

食欲の不振を招く原因と疾患には次の様なものがあります。
30年以上に渡る臨床経験からウサギの食欲不振の原因を分析しますと
1歯牙疾患
2消化管の運動低下
3胃拡張(胃内毛球症)
の上記3種が圧倒的に発生します。
稀に糖尿病、腎不全、肝不全等の代謝性疾患でも示します。これら後者の疾患では、極めて重篤な程度の症例が多く、慎重な治療が要求されます。また心筋症等による心不全によっても食欲が低下します。腸毒血症やハエウジ症でも食欲が低下します。
その他の原因としては
1有毒化学物質の摂取:部屋の中に放して自由に行動される事は色々不都合なことがいっぱい起こってきます。有毒物質を取り込む事も起こりえます。
2盲腸便秘:水分に富む盲腸内容が飲水量の不足や充分に餌を採れないと盲腸内がひからびてしまい、触診でゴツゴツした糞塊が盲腸内で触知できます。レントゲン検査で確定診断ができます。
3全身性疾患:糖尿病、腎不全、心不全等の主要臓器の機能不全でも起こします。
4新生物(腫瘍と同義語です):乳腺癌、子宮の線癌の為に食欲不振に陥いります。
5食物による要因:盲腸機能の維持にはセルロースの多給が必要です。盲腸に入らないデンプンやおやつ類を沢山与えても発症します。牧草を主食として与えてください。
6管理失宜:アンモニア臭のする不潔な環境を嫌います。またネコににらまれる、イヌに吠え続けられる等の恐怖の体験によっても餌の食べ方がわるくなります。

食欲不振に伴う症状としては、
1排糞量の減少:糞は食欲があれば一日に体の大小にかかわらず、300〜500個くらい排泄します。しかし食欲が無いと一日に小さな糞を数個しか排泄しません。食欲廃絶では無く糞を排泄しません。食欲=糞便量と言われています。24時間の糞便を集めて、動物と一緒に動物病を尋ねて下さい。獣医師にあなたのウサギの様子を収集する為の良い情報源になります。
2飲水量/排尿量の減少:何らかの病因が存在する時は食欲が低下すると同時に飲水量も減少します。従って尿量も少なくなります。

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ウサギの食欲不振の三大原因 1歯牙疾患ーa 切歯の咬合不全

  • 2009年12月29日(火)09時38分
  • by 中津動物病院 院長

ウサギの食欲不振の原因としては歯牙疾患、消化器機能不全、胃内毛球症が圧倒的に多い事を経験しています。先ず歯牙疾患ついて説明します。
ウサギは胎生期に吸収され、誕生時にはすでに永久歯に生え変わっています。永久歯式は2033/1023で表現され、合計28本の歯を有しています。全ての歯は生涯伸び続けます(常生歯)。常生歯の特徴は、植物が太陽エネルギーから作り出した繊維(セルロース)は歯に対して摩耗性が高い上に、単位当たりの含有エネルギーは低く、大量に摂取する必要があります。その為に歯の咬合面は常に摩耗するのに対して、摩耗を補完する為に歯が成長します。その成長速度は上顎の第1切歯で2mm/週、下顎切歯で2.4mm/週と言われています。臼歯も同じ程度に成長すると推察されます。またウサギはこうした食物繊維を砂と一緒に摂取する事になるので、摩耗は一層進みます。こうした歯の特徴を持つウサギに与える餌としては、牧草を多く与えるのが良い事は当然です。口中の唾液で溶ける様なペレット類は歯の摩耗と言う点から考えると不適な餌と言えます。一旦、臼歯の摩耗異常で治療を受けたウサギには、摩耗を助ける為にグリッドと呼ばれる川砂を牧草に塗って与えて、野生の摩耗状態に近づけてやると再発防止に良いでしょう。
歯の咬合異常には切歯の症例と臼歯の症例あるいは両者が併発してい症例があります。
1切歯の咬合異常
多くは抱いていて、誤って落とした際に顔面を強打して起こります。強打から1ヶ月以上してから咬み合わせに異常が生じますので、飼い主は因果関係について思い出せない事が多いです。
口唇から切歯が外側に伸び出してくる症例では飼い主が気付き易いですが、内側伸びてくる場合には発見は遅れます。流涎や食欲不振が長く続いてやっと気が付く場合も多いです。動物病院で処置を受けて下さい。通常は無麻酔で、特殊なニッパ様の器具で本来の咬合水準で水平に切ります。1ヶ月に1回程度の切断が必要です。
ファイル 174-1.jpg
正常な切歯の咬み合わせ
ファイル 174-2.jpg
正常な切歯の咬み合わせ
ファイル 174-3.jpg
切歯の咬合不全

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ウサギの食欲不振の三大原因  1歯牙疾患−b 臼歯の咬合不全

  • 2009年12月29日(火)09時36分
  • by 中津動物病院 院長

2、臼歯の咬合異常
 上下の臼歯の咬み合わせは唇側に低く、舌側に高くなっています。充分に摩耗しないと、お互いにぶつかります。それでも臼歯は伸び続けますので、上顎の臼歯は歯根部が上に移動して涙管を圧迫し始めます。また下顎の臼歯は下顎骨の歯槽を下に押し続けて下顎下面に凹凸を形成します。こうした症状は長期に渡る臼歯の摩耗不全をしめしています。こうしたウサギは下顎臼歯はすでに舌側に倒れるように伸びて、その先端は尖り、舌の側面を切り始めています。上顎の臼歯は唇側に伸び、頬の粘膜に傷をつけています。
ファイル 175-1.jpg
良くすり減っている正常な臼歯の咬み合わせ
ファイル 175-2.jpg
摩耗が充分で無く、衝突し始めた臼歯
ファイル 175-3.jpg
衝突が長期に渡ると互いに曲がって伸び、舌と頬を切り始める

食物を摂取するたびにこうした口内の傷は深くなっていきます。ウサギは口内の傷による疼痛には耐えられず、食欲不振の症状以外に流涙、流涎、軟便、小さな形の数少ない便の排泄、ガス発生による腹部の膨満を起こすことがあります。
診断は、口内の流涎状態を観察する事で可能となります。通常は口内は湿潤ですが、泡状の過剰な唾液はありません。しかし口内に痛みがあると泡状の過剰な唾液が口内に充満しています。
治療は当院では若いウサギでは無麻酔で、開口器と開唇器を設置して、特殊な器具で伸びすぎた臼歯を切り、歯科用のヤスリで咬合面を平滑にします。数分で終わります。
ファイル 175-4.jpg
ウサギの保定のところでお話ししましたように、ウサギは繰り返す刺激よく慣れて、全ての行為を受け入れてくれる動物ですので、無麻酔でもこうした治療が安全に行えます。ただし老齢のウサギでは脊椎骨折の危険がありますので、全身麻酔下での治療になります。また1ヶ月に1回くらいの治療が必要ですので、再発防止の為に牧草の多給とグリッドの塗布を御勧めしています。

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ウサギの食欲不振の三大原因  2 消化器機能不全症

  • 2009年12月29日(火)06時05分
  • by 中津動物病院 院長

ウサギの食欲不振の三大原因の2番目としては消化器機能不全症があります。その要因となるものには;
1臼歯の過長による頬や、舌の切損による激しい痛み
2牧草等の給与不足による腸管への刺激が充分でないとき
3胃内毛球症による胃運動簿の抑制および胃通過障害あるいは閉塞
4水の給与不足
5環境の悪化:アンモニア臭、他の動物の脅威、寒冷、猛暑、体表の湿潤による体温低下等
 消化器機能不全症では腸管が充分に動きませんので、当初から発生したガスが溜まり、鼓腸を呈します。打診で鼓音を示す事でガスの発生と腸蠕動が充分でない事がわかります。排糞量は極めて少なくなり、全く排糞しない事もあります。一日の排糞量はその日のこのウサギの食欲を示していますので、来院時に全て集めて持参する事は大変有用な情報を持参することになります。
治療はセルロースの多い流動食のの強制給餌とリンゲル等の体液に近い輸液それにプリンペラン等の腸蠕動を確実に行わせる薬物の投与をします。また原因が明らかな時にはその除去に努めます。胃内毛球症は現在では内科的な療法で充分に対応できます。よほど遅れて来院しない限り当院ではここ数年開腹手術症例はありません。全て内科的療法で治癒しています。

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ウサギの食欲不振の三大原因 3 胃内毛球症

  • 2009年12月29日(火)06時04分
  • by 中津動物病院 院長

ウサギは嘔吐の出来ない動物です。そのため、飲み込んだ被毛は糞として排泄する必要があります。換毛期に一度に沢山の毛が抜けますが、この時のしっかり手入れをして被毛を舐めとらないように努めないと胃内で毛玉を形成します。被毛は次第に大きくなって遂には胃内いっぱいになります。胃は全く動く事ができず、食欲も極端に減少します。胃が動かずに、内容物が下部消化器官に送られないと、その部位も待った空が置かなくなり、ガスが発生します。ウサギは水も餌も採れず、脱水が進行します。また盲腸機能も停止して、必要な栄養を微生物に作り出してもらえません。極めて危険な状態といえます。糞は全く排泄せず、腹部の痛みの為に動く事され出来ずにいるかもしれません。動物病院では腹部の触診や打診、レントゲン検査等で診断します。治療は毛玉排泄促進の為に、ラキサトーンを3g程度強制的に飲ませます。ウサギはこのサプリメントを好むようで、自分から食べる個体も見られます。ついで、水分の多い流動食の経口投を20mlから30ml注射筒で強制的の与えます。量は触診を時々行って、胃の充満度を知りながら与えます。過剰な流動食の投与は胃破裂の恐れを生じます。脱水の改善の為に等脹性ブドウ糖加ラクトリンゲル液を皮下又は緊急的には静脈内に投与します。プリンペラン等の腸蠕動機能調整剤や鎮痛剤の投与もおこないます。こうした一連の治療を連日行えば次第に胃内の毛球が排泄され、腸蠕動が再開されます。盲腸内に水とセルロースが充分に届くように治療してゆきます。そうすれば今では外科的に毛球を摘出する事は稀な事になっています。
 日常の管理としては
1被毛の手入れを良くして、抜け毛を舐めとらせない。その為にブラシを良く当ててやり、また硬くしぼったタオルで体表を摩擦して、抜け毛を除去する。
2ラキサトーンと、抜け毛が多い時期は毎日2〜3ml与える。抜け毛が収まっている時期には3〜7日毎に1〜2mlを与える。
3糞量を毎日観察し、少ないと思われる時は全量の重さを量る。通常は40gから60gある。数では500個は排泄する。

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ウサギの病気 老齢期の病気1 子宮線癌

  • 2009年12月27日(日)14時55分
  • by 中津動物病院 院長

 ウサギの子宮は重複子宮で、左右の子宮がそれぞれ子宮頚管と子宮角を持ち、左右それぞれ独立した器官です。そのため片方が重度の疾患を持っていても、もう片方は全く正常で有ると言う事もあります。
飼い主は持続する血尿と言う事で来院します。出血性膀胱炎であるかもしれません。5才以上の老齢ですと子宮腺癌である可能性が否定できません。従って血尿と思った赤い排泄物は実は血性のオリモノであるわけす。赤い尿と思われるものが見られた時は少しで良いですからその赤い液をプラスチック容器に採取して、動物を連れて一緒に持参して下さい。動物は自ら症状を話しませんから、少しでも正確な診断をする為に、赤い液に持参は大変多くの情報を獣医師に与えます
子宮の病気としては子宮蓄膿症や子宮水腫、子宮の平滑筋腫もありますが、老齢動物で圧倒的に多いのが子宮線癌です。容易に転移し、腹腔内に腫瘍細胞がばらまかれたり、肺に転移します。肺で増殖した腫瘍で激しい呼吸困難を示し始めますと、1週間くらいの余命となります。5才令以上で好発。メスの半数に発生するという報告があります。
ファイル 168-1.jpeg

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ウサギの病気 老齢期の病気2 脊椎骨折と脊髄損傷(後躯麻痺)

  • 2009年12月27日(日)07時44分
  • by 中津動物病院 院長

先にウサギの肺炎のところで御示ししましたレントゲン写真をもう一度見てみましょう。ネコの骨はカルシウム沈着が体重の13%に及びますが、ウサギは8%しかありません。レントゲン写真では、明らかにネコの骨は白く写っていまして、ウサギの骨はレントゲン線を良く通すので、黒く写っています。こうしたカルシウム量の沈着の違いが脊椎骨折の素因になっています。そして老齢になりますと、骨からのカルシウムの離脱が起こって、さらに黒く写る骨になってしまっています。ウサギの筋肉は後躯に行くほど発達しています。特に腰椎と後足に付着する筋肉は強力です。自分で動き回る場合には滅多に骨折を起こしませんが、抱き上げるとか、被毛の手入れをする際に不用意に保定しますと、容易に脊椎骨折を起こします。通常は腰椎の6番目前後に起こります。その結果脊椎骨の中を走行している脊髄(腰髄)が損傷を受け、回復不可能な麻痺に陥ることになります。後足が全く動かなくなり、前足だけでイザル様になります。まら膀胱の知覚も麻痺して、尿が垂れ流しになって不潔になります。損傷直後から濃厚な治療を開始し、1週間以内に何らかの症状の好転があれば、回復の期待が持てます。でも多くは経過は不良で、動物福祉の観点から安楽死も考慮される不幸な状況に陥ります。

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ウサギの病気 老齢期の病気3 膀胱/腎臓結石

  • 2009年12月27日(日)07時40分
  • by 中津動物病院 院長

泌尿器系の腎臓、尿管、膀胱および尿道に結石を生じます。5才以上の老齢で好発します。血尿で飼い主が気付くことがあります。健康なウサギの尿は通常は濁った白色から不潔な褐色を示します。気温が低い時は白い結晶が直ちに析出してきます。多くは餌由来の炭酸カルシウムです。そしてウサギの結石は蓚酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸アンモニウムが圧倒的に多いです。また餌の中のカロテンが尿中に排泄されますと、発酵動物の特徴である尿のpHがアルカリ性の為に、赤色を呈します。これは良く血尿と誤解されます。食用の酢を1滴少量の尿に滴下しますとこの赤色が消失する時はカロテン由来の色素と判ります。血尿のヘモグロビン由来の時は赤色に変化はありません。膀胱炎では排尿回数が極端に増えます。これは膀胱の炎症の為に排尿直後でも残尿感が強く、またしみる様な疼痛の為に頻尿になります。そのためお尻の周辺が濡れて、被毛に染み込み後躯が尿で染まって不潔な外観になります。泌尿器系の結石は触診、超音波検査、レントゲン写真で診断します。膀胱結石は手術で摘出して治療します。食事療法は無効な事が多いです。結石は尿の濃度が高い為に起こりますから、水を沢山飲めるようにしておくひつようがあります。幸いウサギは新鮮な水が大好きですから、予防あるいは術後の再発防止の為に、給水瓶の中の水を一日に何回も交換して下さい。また食餌中のカルシウム量を減らす野菜を選んで与えると良いでしょう。また野菜は90%以上が水ですから、薄い尿を作るのに役立ちます。成長期にはカルシウムがんりょうの多い野菜としてコマツナやチンゲンサイ、大根やカブの葉等が好適ですが。結石が出来たウサギにはレタス、ハクサイ、キャベツ、サラダ菜等が良いでしょう。血尿と血性のオリモノとの区別はウサギでは外観上は困難で、老齢ウサギの多い子宮の線癌との区別は特に重要で、尿を採取して動物と一緒に持参して診察を受けましょう。ペレットやサプリメントの給与は獣医師と良く相談してください。

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ウサギの病気 老齢期の病気4 臼歯の過長にに伴う歯槽骨膜炎と膿瘍

  • 2009年12月27日(日)07時35分
  • by 中津動物病院 院長

臼歯は生涯を通じて成長を続ける常生歯と言われる性質を持っています。それ故に、常に臼歯表面は摩耗し続ける必要があります。繊維質の多い牧草(チモシー等)を多く与え,更にこれにグリッドと呼ばれる川砂を塗って、じゃりじゃりと餌を食べさせるとうまく臼歯は摺り減ります。生涯を通じてこうした配慮は必要です。過長な臼歯を放置しますと、上下の臼歯が衝突しますが、それでも歯は伸び続けるので、お互いに押し合う事になります。真っ直ぐだったは彎曲し始め、臼歯の間に隙き間が出来て、遂には臼歯間に食べ物が挟まって、これが細菌の栄養源になって増殖し、ウサギはこの細菌の毒素の反応して大量の白血球を送り出します。これはやがて膿となって、臼歯間に貯まります。いわゆる歯周病が始まります。膿の中には大量の蛋白分解酵素が含まれていますので、歯を歯槽につなぎ止めている歯根膜が破断します。こうなると臼歯はますます動揺して容易に臼歯間に食べ物が挟み込まれ、一層歯周病が進行します。こうした病変は痛みを全く伴いませんので、ウサギは案外平気で食欲にも変化はありません。しかし放置してますと、やがて膿は歯槽骨を溶かして更に下方に進み、遂には顎の下に貯まり始めます。こうした状況でもウサギは食欲を示しますので、飼い主はついつい見逃してしまうかもしれません。
ファイル 183-1.jpg

上顎の臼歯では第1後臼歯では膿瘍が眼の下に出現し、丸く腫れます。第3後臼歯では、膿は眼球の下に現れ、眼を外側に押し出します。眼球突出が起こります。
ファイル 183-2.jpg
下顎の膿瘍は切開して串線を通して排膿中、今度は眼球の上に膿瘍が出現。
多くの飼い主こうした事態になって初めてウサギの歯周病の進行に気が付く事になります。いずれも極めて治り難い病態です。対症療法として、膿の排泄経路を確保する為に局所麻酔か、鎮静剤を投与してから、皮膚を2カ所切ります。ここに滅菌の管を通してリボン状に結んで(串線という)容易に脱落しない様に串線を設置します。
上顎骨では飛び出した眼の下方と眉の部分にそれぞれ串線を通して膿の排泄路を確保します。この串線を通じて連日消毒と、排膿の処置を繰り返します。原因療法の歯周病になっている臼歯を完全に抜歯出来た時に再発防止の可能性が出てきます。でもウサギの臼歯の抜歯は容易ではありませんので、治癒までの期間は長くかかります。

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ウサギの獣医学:消化機能不全症の治療の要点

  • 2009年12月26日(土)08時04分
  • by 中津動物病院 院長

消化器機能不全の治療
排糞量の把握は極めて重要な臨床所見で、24時間排糞量を数か重量で経時的に観察する。通常の一日排糞は数で500個くらい、重さで50〜70gである。数個で明らかに小さな糞は本症を示唆している。
1盲腸機能の回復と維持:盲腸への水分とセルロースの補給を開始。ただし胃内容を触診で把握する。食欲不振又は廃絶にもかかわらず、すでに大きな胃を触知出来るときは胃内毛球症等による胃運動の低下と胃の膨満が存在する。このときは流動食を通常より更に水分の多い状態に調整して、水分補給を主体とする。ウサギは胃破裂を容易に起こす動物である事に留意し、触診は慎重に行う。胃を触知できないときは流動食を3ml×5回くらい給餌後、再度触診すると多くの場合胃の大弯側を季肋骨縁下方で触知できる。胃の硬度を判定し、水分が不足するときは硬く感じるし、圧迫に対する胃の変形も少ない。余裕があると触知できるときは更に3ml×5本を経口投与する(計30ml)。切歯の後には犬歯を欠き、臼歯までの間に隙き間があるので、ここから注射筒の先を挿入できる。

2脱水の改善:多くの症例では5〜10%程度の中等度〜重度の脱水を示している。脱水の程度の判定は、ネコと同じように腰部の皮膚のテント用変化から判定する。ブドウ糖加等張性リンゲル液(輸液開始液=ソリタ1号)の皮下輸液か静脈内投与が選択される。最少でも体重の5%は投与したい。この注射による水分補給は、経口投与による盲腸内への水分補給とは別ルートによる水分補給の意味で重要である。
     等脹性電解質液を皮下および血管内へ
維持投与量は100ml/kg/day
3腸蠕動の維持:腸蠕動調整作用剤のプリンペランのウサギでも適応は、イヌやトリと同じように、安全で使い良い薬物である。薬用量はは2〜5mg/kgで、皮下、筋肉、静脈内に投与できるが通常は皮下注射で用いている。
4疼痛の制御はウサギでは極めて重要で、痛みを取るだけで臨床的な改善(動けるようになった等飼い主の治療に対する印象が好転する)が見られる事も多い。
鎮痛剤:ブトルファノール 0.1-0.5mg/kg,sc
あるいはカプロフェン2-4mg/kg,sc
5運動の負荷:広い庭に出して自由に運動させる事は腸蠕動の確保に有効である。
治療効果の把握
 消化管内のガスの存在は消化管が充分に蠕動していない為に発酵で産生するガスが血液内に吸収されない事を示している。打診によるガスの把握は回復過程の把握に重要であり、確実な回復を示すときは日ごとに鼓音域が減少してくる事で判る。シメチコン(20-40mg/kg,po6時間ごと)等のガス産生抑制剤は我々は通常使用しないが、成書には記載されている。 

強制給餌用の流動食調整:
イースター社から市販されているメディカルサポートMSはペレット状であるが、温水で良く溶ける。充分に融解した後、茶こし(100メッシュ)で濾過すると注射筒に吸い込み易い。この他にOXBOW社のクリティカルケアが市販されているが、ハーブ臭が強くやや使い難い。これを一日2〜3回投与する。多くの症例で口内に注入された液状の食餌はよく食べる。しかし強制給餌しても飲み込まずに、口角から垂れ流すときは腎不全/肝不全等重篤な内科疾患の可能性を疑い血液検査が必要となる。
この他、胃内の被毛と毛球の排泄促進の為に、ラキサトーン1〜3ml/kgの経口投与が効果を発揮する。
また原因疾患が診断できるときはその治療に当たる。
歯科疾患の有無は本症状の原因究明の為に絶対必要な検査項目で、先ず耳鏡を使って口内を観察する。口内が泡沫状の流涎で満たされて良く観察できないときは激しい痛みを伴う口内疾患特に歯科疾患が示唆される。

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